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第393話

「ん…智、前、擦って?」 おねだりされて、自然と手が自分自身に向かう。 「んふっ、翔っ、あんっ、あふっ」 上下に擦るスピードが増し、胸の粒を痛いくらいに抓り引っ張ってみる。 いつの間にか手放した携帯は枕元に転がっていた。 「はあっ智…後ろ、弄れる?自分で…してみて…」 悪魔の甘ったるいささやきに、サイドテーブルからローションを取り出すと、手に取りそれを纏わせた指を躊躇いもなく差し込んでいく。 つぷっと音を立てて抽挿を繰り返すと、次第にくちゅくちゅと濡れた音がし始め、それをワザと聞こえるように携帯を近付ける。 「あぁ智…ステキな音がする…お前に…挿れたいよぉ…」 哀願する翔の声が切なくて泣きそうになる。 「翔…俺も…挿れて欲しい…あぁ、この距離、もどかしいな…早く、早く帰ってきて、俺を…抱いてくれよ…あっ、あんっ」 ぐじゅくちゅと絶え間ないいやらしい音が部屋に響いている。これと同じ音が翔にも聞こえているかと思うと、羞恥に全身が熱くなる。 前も後ろも自分で弄りながらも、携帯から聞こえる翔の熱い吐息と甘い声に、翔に直にされているように錯覚を起こす。 「ああっ、翔っ、もう、もう、イきそう…」 「俺もっ、智、イくぞっ!」 「あぁぁっーっ!!」 「くぅっ…」 ほぼ同時に達したらしく、後は、せわしなく はぁはぁという息遣いだけが聞こえる。 「智…もうちょっと、待ってて。もうすぐ帰るから…イイ子にしてて…」 「…うん。翔…待ってるから…お休み…愛してる…」 「智ぃ…はぁー…愛してるよ。お休み…」

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