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第394話
初めて電話でヤってしまった…
電話越しの、翔の甘くて切ない声がまだ耳に残っている。
俺の名を愛おしそうに呼び、伝わるはずのない吐息の熱さまで届いた気がした。
それを思い出すと、ふるりと身体が震えてお腹の奥の方から甘い疼きが湧き上がってくる。
ふと見ると、吐き出した白濁の液が、べったりと手についている。
大きなため息を一つ付いて、ティッシュでそれを拭き取った。
欲を吐き出しても、埋まることのない隙間。
いくら自分で弄っても、身体の奥に燻る熱が引かない。
これじゃあ、ただの自慰行為だと、なんだか虚しくなってきた。
早く、早く帰ってきて。
その力強い腕で俺を抱きしめて。
耳元で『愛してる』ってささやいて。
熱く滾る楔で俺に打ち込んで…
あと何日この思いを引きずればいいのか…
帰ってくるのはわかっている。
でも、でも…
二人で過ごす濃厚な日々が、もう、一人ではいられなくしてしまった。心も身体も。
まるで麻薬のように。
蜘蛛の巣にかかった蝶のように、翔の愛に絡め取られて、二度と逃げ出せない。
あの優しくも淫らで尽きることのない愛に…
またため息を残して、俺はゆっくりとバスルームへと向かった。
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