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第405話

五十嵐君は病院へ着いた途端、猛ダッシュで時間外のドアをすり抜け、エレベーターを待つ間もなく階段を駆け上がり部屋へ飛び込んでいった。 慌てて追いついた俺達の耳に、ドア越しにお互いを気遣う会話が漏れ聞こえてくる。 頃合いを見計らってドクターと部屋へ入っていった。 「意識も戻られたので、もう安心ですよ。 ものすごいショックを受けられたんですね…検査の結果も問題ないですし、点滴が終わったらお帰りになっても大丈夫ですよ。」 「本当ですか?よかった…」 「お帰りの時は、私がお送りします。 外でお待ちしてますので、お声をかけて下さい。」 一言告げて廊下で待機する。 あぁ、あの二人も性別を超えて、本当に心から愛し合っているんだな。 そんな二人を引き裂くような事態にならなくて本当によかった。 大きく深呼吸した後、少し離れて直接総理に電話をかけた。気にされてたのか、ワンコールで出た彼に現状を伝え、電話を切った。 そうだ。俺も連絡しとかなければ。 慌てて携帯のラ◯ンを起動させた。 『無事に帰国したよ。ただいま。 トラブル発生。帰りは何時になるかわからない。 でも 何時になっても必ず帰るから…また連絡する。 ごめんな。』 即レスで 『お帰り! 無事でよかった! お疲れ様。そう簡単には解放してもらえないね(笑) 待ってるから。何時になっても待ってるから。 気を付けて。』 『わかった。ありがとう。』 『待ってるから。』

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