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第409話

張り詰めた空気の中、氷のように冷たい俺の声が響く。 「自分達が しでかしたこと、もう一度振り返ってよく考えてみるといい。 いや、考えてもお前達は、責任転嫁するばかりで反省できないかもしれない。 人間として…最低だな。 明日から一週間、自宅謹慎だ。 処罰は、おって連絡する。 それ相応の処分を覚悟しておけ。 みんな、疲れてるところ すまなかったな。 帰ってゆっくり休んでくれ。 来週からまた頼むぞ。」 そう言い残してドアを閉めた。 泣き崩れる二人の声が聞こえたが、無視して家路を急ぐ。 自業自得だ。散々甘やかされて育ってきたツケが回ってきたんだろう。 今回は絶対に容赦しない。どこから圧力がかかっても、断固捻り潰す。 あいつらの処分は…もう明日考えよう。 もし五十嵐君が被害届を出すつもりならそれでもいい。 あぁ、日付が変わったか…声が聞きたくなった。 1コール、2コー… 『もしもしっ?今どこっ?』 『今片付いて出たとこだ。一時間で着く。』 『わかった。気を付けて…』 『あぁ。』 スレ違いの日々がやっと終わる。きっと今頃、俺のために何か作っているんだろうな。 あの芳しい匂いを思いっきり吸い込みたい。 あの華奢な身体を抱きしめて口付けて、思う存分貪りたい。 早く最奥に己の楔を突き立てて、啼かせてともに果てたい… はやる気持ちと暴走しそうな俺自身を最大限の理性で押さえ込んで、車窓に流れる街の灯りを睨みつけるように眺めていた。

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