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第415話
大満足の智と凛は片付けと洗濯が終わった後、ソファーに座った俺の側にくっ付いて離れようとしなかった。
俺は足の間に凛を座らせ、右側に座った智の頭を自分の肩口にもたれ掛けさせて抱き寄せると、その柔らかな髪を指に巻きつけては撫でていた。
小一時間もすると凛は満足したのか飽きたのか、おりがみする と言って部屋に一旦戻り、俺の足元に座って何か折り始めた。
智はくっ付いたまま動かない。時々顔を上げて俺の顔をじっと見ては、ふにゃりとうれしそうに笑い、また頭を擦り付けてくる。
そのかわいい仕草に、目が会う度に
「愛してるよ」
とささやいて頭にキスをすると、くすぐったそうにしながらも、俺のするがままになっている。
ゆったりと流れる時間。
数時間したら、あの荘厳な場所で永遠の愛を誓い合うのだ。
昨夜はそれが永遠に奪われたかもしれない、緊急事態だった。あの時改めて、智の存在の大きさとお互いの想いがわかった。
もう俺は、智なしでは生きられない。智もそうだ。
ショックのあまり、自分の心臓を止めてしまうほどに。
それにしても、後遺症もなく、本当に無事でよかった。あの時ばかりはSPを付けてくれたあの人達に感謝した。中谷氏の連絡を受けて、ものの五分で駆けつけた彼らは、泣きながら人口呼吸していた凛に代わり、心臓マッサージで蘇生に成功したのだった。
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