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第420話
一旦控室に戻り、コップに水を注ぐと一気に飲み干した。
はあっ と息をつくと、智が近付いてきた。
「翔?どうした?」
瞳が切なげに揺れている。
「今からあのチャペルで誓いを立てると思ったら緊張してきちゃって。こんなの初めてだよ。
一世一代のキメ所だからな。
転んだり噛んだりしないようにビシッとキメなきゃ。」
ぴっと襟を引っ張った俺に、智はふふっと微笑むと、そっと指を絡ませて
「翔…俺もめっちゃ緊張してる。
幸せだよ。すごく、うれしい。こんなに、幸せでいいのかな…幸せ過ぎて死んじゃいそうだよ。」
俺の中の何かがキレた。智の両肩を掴んで
「馬鹿野郎っ!!!死ぬなんて言うなっ!!!
智、お前…お前、昨日一回死んでるじゃないかっ!
頼むっ、頼むからっ…二度と、二度と死ぬなんて…言わないでくれっ…頼むっ…
俺の側から、二度といなくならないでくれよっ…
一生、側にいてくれ…頼む…」
びっくりして硬直した智の目を見つめ、泣きながら懇願する。
ふっと智の力が抜け、親指で俺の涙を拭うと俺を抱きしめた。
「…ごめん、翔…そうだったね。俺、昨日一回死んじゃったんだね。
でも、また生き返ってお前達と会えたんだ。
また最初から愛を育んで積み重ねて歩いて行けるんだ…
ごめん…もう二度と言わないよ。
俺を…一生お前と凛の側に置いて下さい…
愛してるよ、翔…」
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