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第439話
かりっと柔く歯を立てられて、びくんと背中が反り返った。
じくじくと甘痒い感覚に潤んだ目で睨み付けると、わざと舌を突き出し、そこを舐めている。
ちろちろと蛇のように赤い粒の上を這い回る舌は、何とも淫猥で見ているだけで興奮する自分がいた。
もどかしさと恥ずかしさが交錯し、頭が朦朧としてくる。
くっ、くふん、くんっ
再び両手で抑えた口からは堪え切れない、甘く切ない声が漏れている。
「智…ちゃんと聞かせて…今夜は『恥ずかしい』とか『イヤ』はなしだよ?」
翔がやんわりと手を外してきた。
抗うことなく、すんなりとそれに従い、ただひたすら愛する男を見つめ続ける。
ふっと微笑んだ翔は、するりと俺の帯を解くと一気に引き抜いて、浴衣を左右に開いた。
途端、息を飲む気配…
「智…これ…」
あぁ、見られちゃった…翔、引いてない?
全身更に真っ赤になり、恐々見上げると、片手で口元を押さえ、ふるふる震える翔が目に入った。
ヤバい…引いてる?どうしよう…これ気に入らなかった?
悲しくなって横を向いて答えた。
「…遙さんが…新婚さんだから『ダンナさんが喜ぶものを』って。花嫁さんみんなにプレゼントしてるって…
ごめん、気持ち悪かった?…」
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