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第448話
意識が遠のきそうになって、目を瞑って大きく息を吐く俺の髪を撫で、優しくキスをすると
「智、無茶してごめん。優しくしようとしたけど…自制が効かなかった…
大丈夫か?身体、なんともないか?」
目を閉じたまま、こくんと頷くと、熱を帯びた手の平で頬を撫でられた。
薄れゆく意識の中、必死で目を開け、翔を見ると、俺を気遣う不安げな瞳が揺れていた。
唇だけで『大丈夫』と伝えると、その瞳がふっと和らいでまたキスされ…俺の記憶は夜の闇に落ちていった。
温かいお湯の中に浮かんでいる…多分…
力強い腕に抱きとめられて…
「…とし、智?気付いたか?…智?」
意識が戻ったのは、翔に抱えられて入っているお風呂の中だった。
「…翔?…あぁ、ここまで運んでくれたのか?
ごめん、意識飛んじゃって…ありがとう。」
「いや、俺こそごめん。抑え効かなくって抱き潰した。
だって、お前…かわいくっていじらしくって色っぽくってエロくっ…むぐっ」
むず痒い言葉を連発する翔の口を塞いでやった。
「…もう…止めてくれよ、恥ずかしいから。
それと…がっつき過ぎ!」
ぷいっと膨れて横を向くと、顎をくっと戻されて顔を真正面から覗かれた。
「仕方ないじゃん。一週間智不足で耐えられなかったんだ。
おまけに新婚初夜だぜ?張り切るなって言う方が無理だよ。
愛しい伴侶を遠慮なく抱いて何が悪い?俺達は夫夫だよ?」
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