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第453話

ベッドにそっと下された俺は、渋々横に滑り込んできた翔の首に両手を回して抱きついた。 シーツ、キレイになってる。俺の意識がない間に換えてくれたのか。 …こうやって、ぴったりくっつくのが好きなんだよな。とくとくと規則正しく打つ鼓動を聞きながらうっとりしていると 「智…脱がせていい?」 セクシーボイスが耳元に落ちてきて、思わず身体がぶるっと震えた。 反則!それ、反則だから!耳弱いの知っててワザとやってる! 何とか自分のペースに持っていこうとしているのがバレバレだよ。 負けるもんか。そう簡単には… 「ね、裸でぎゅっとしよう?智の温もりが欲しいんだ…お前の素肌に触りたい…手は出さないから…ぎゅってするだけ…ね?」 うっ…やばい…耳だけで身体が反応する。 ダメだ、ダメだ。流されてはダメだ。 「だって…せっかく翔が着替えさせてくれたんだよ?もう少しこのままでいたいな…もう、動きたくないし。」 上目遣いでかわいくおねだり。さぁ、どうだ? 翔、この顔に弱いんだよな… おっ、どぎまぎしてるぞ。もう一息! 「それに俺、こうしてるだけで本当に幸せなんだ。 だから…もう少しこの想いを満喫させてほしい… ね?お願い。」 がっくりと肩を落とした翔が小さな声で(わかった)と呟いた。俺は心の中でガッツポーズをした。 今夜は…残念だけど俺の勝ち。

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