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第456話

愛する男の分身を残らず飲み干した俺は、やっと萎えた楔に名残惜しげにキスを一つ落とし、口を外すと大きく息を吐いて、優しく俺の髪を撫でる翔を見つめた。 「智…ありがとう。なんで泣いてるの?辛かった? ごめんな、無理強いして…」 ふるふると横に首を振って否定した。 「…違うよ。俺がそうしたかったんだ。 でも、でも…お前がこんなに俺のことを欲しがって愛してくれてるのに、俺は…俺は、お前の子供が作れない…」 やっとそこまで言うとまた涙がポロリと溢れてきた。 起き上がった翔は俺を抱きしめキスをすると、ふっと笑った。 「俺はお前がいればいい。お前しかいらない。 何度も言わせるなよ。それとも何度も言ってほしいのか?気の済むまで何回でも言ってやるよ。 それに、俺達と血の繋がった凛がいる。それで十分過ぎるほどじゃないか。 なぁ、もう泣くなよ。 あぁ、ベトベトになっちまったな。マーキングしちまったか。また、風呂入ろうか。浴衣汚すの嫌だもんな。」 くっくっと笑うと、翔は俺を抱いたまま外の露天風呂へ連れて行った。 凍てついた空気にぶるりと身震いし、瞬間鳥肌が立った。翔に身体を預けて掛け湯をしてもらい、とぷんと湯に浸かる。 心地よさに、ほうっとため息が漏れた。 「気持ちいい…」 それを聞いた翔が拗ねた声で 「俺よりも?」 おかしくて肩を震わせながら答える。 「ばーか。気持ち良さの次元が違うだろ? お前は…特別。 翔…大好き。愛してるよ。」

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