454 / 516
第456話
愛する男の分身を残らず飲み干した俺は、やっと萎えた楔に名残惜しげにキスを一つ落とし、口を外すと大きく息を吐いて、優しく俺の髪を撫でる翔を見つめた。
「智…ありがとう。なんで泣いてるの?辛かった?
ごめんな、無理強いして…」
ふるふると横に首を振って否定した。
「…違うよ。俺がそうしたかったんだ。
でも、でも…お前がこんなに俺のことを欲しがって愛してくれてるのに、俺は…俺は、お前の子供が作れない…」
やっとそこまで言うとまた涙がポロリと溢れてきた。
起き上がった翔は俺を抱きしめキスをすると、ふっと笑った。
「俺はお前がいればいい。お前しかいらない。
何度も言わせるなよ。それとも何度も言ってほしいのか?気の済むまで何回でも言ってやるよ。
それに、俺達と血の繋がった凛がいる。それで十分過ぎるほどじゃないか。
なぁ、もう泣くなよ。
あぁ、ベトベトになっちまったな。マーキングしちまったか。また、風呂入ろうか。浴衣汚すの嫌だもんな。」
くっくっと笑うと、翔は俺を抱いたまま外の露天風呂へ連れて行った。
凍てついた空気にぶるりと身震いし、瞬間鳥肌が立った。翔に身体を預けて掛け湯をしてもらい、とぷんと湯に浸かる。
心地よさに、ほうっとため息が漏れた。
「気持ちいい…」
それを聞いた翔が拗ねた声で
「俺よりも?」
おかしくて肩を震わせながら答える。
「ばーか。気持ち良さの次元が違うだろ?
お前は…特別。
翔…大好き。愛してるよ。」
ともだちにシェアしよう!