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第462話

「…お腹空いたし、キレイにしたら早く連れて行って。」 ぶっきらぼうに言い捨てて、ふいっと顔を横に逸らす智。 お湯の蒸気のせいか照れからなのか、耳元までほんのりと赤く染まっている。 甘えたいのに甘えられない、これで精一杯の彼の甘え方。 「承知致しました、my darling…仰せの通りに…」 軽々と横抱きにすると脱衣所に連れて行き、この上なく慎重に水滴を拭き取り、軽くドライヤーを当てて、バスローブを羽織らせる。 上目遣いで何か言いたげな智をまた抱き上げ、朝食の膳に向かった。 朝から高級感満載の品々が卓を埋め、目を輝かせた智がうきうきしながら座卓に座った。 「うっわー!朝から豪勢!すっごーい! 翔、早く!早く食べよう!!」 「「いっただきまーす!!」」 余程腹が減っていたのか、次から次へ はむはむとうれしそうに箸を進めていく智は、満面の笑顔だ。 かわいいなぁ…いつまでも見ていられる。 「何見てんの?」 「んー、美味しそうに食べてるお前がかわいくって。幸せだなぁって。」 「ぶふっ…何言ってんの…もう、そんなことどうでもいいから、早く食べろよー。」 頬を膨らませてぶつぶつ文句を言う智もかわい過ぎて、俺は倒れる寸前だ。

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