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第468話

「おーい、智!俺 出たから入ってこいよ。」 「…うん、わかった。」 ん?今、何か間があった?拗ねてる? 今夜はこれ と手渡した浴衣を智は奪い取るように持つと、パタパタと走って行ってしまった。 えー?俺、何か気に触るようなことしたっけ? 首を捻りながら考えるが、思い当たる節はない。 気のせいか… もう少ししたら夕食の準備もできるだろう。 智が出てきたら、橘さんに電話しなくちゃ。 ぼんやりしているうちに智がやってきた。 上気してほんのりと朱を纏った智はしきりと胸元を気にしている。 「どうした?智。」 「…これ…つけ過ぎ…」 むぅっと膨れて少しはだけてみせた胸には無数の赤い印が散らばっていた。 「一週間分のマーキングだよ。見えないとこだからいいじゃん。」 「ううっ…ばかっ…」 真っ赤な顔で俺を叩いてくる智を抱き締めて、腕の中に閉じ込める。 しばらく抵抗していたが大人しく身を委ねてきた。 「翔…」 「ん?」 「本当に…本当に俺のところに帰ってきたんだよな…もう、どこかに行ったりしないよな…」 「!?」 「…お前が帰国してからずっと側にいてくれて…あんな素敵な結婚式の後、二人っきりでここに来れて…一人になるとあの一週間を思い出して…ほんの少しでもお前と離れると…ツライ…」 あぁ、合点がいった。だから、だから風呂に行く時も置いて行ったから… 愛おしくてたまらなくて更にぴったりとくっ付いた。 「智…どこにも行かないよ。行く時はお前と凛も連れて行く。」

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