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第484話
「ええっ!?」
突然大きな声を出して、隼人さんがテレビに食いついた。
何かと思えば、テレビの速報で『法的に同性婚が認められて戸籍上も夫婦として受理される』というテロップが流れていた。
オッサン'sやりやがったな。
根回しゴリ押し、上手くいったんだ。
「遙っ!おい、遙っ!!」
「そんな大声出してどうしたの?隼人。」
「俺達…本当の夫婦になれるかもしれないぞ。」
「えっ?どういうこと?」
「衆参両議院で、同性婚の認可が降りたんだよ!
詳しいことはまだわからないが…」
「…ホントに?嘘みたい…隼人っ」
抱きしめ合う二人から視線を外し振り向くと、智が近付いてきた。
「…翔…俺達も…同じ戸籍に…入れるのか?」
「あぁ。智…夫と妻として、やっと本当の夫婦になれるな。」
智の手を引き寄せて抱き締める。
「嘘みたい…そんな…法律で認められるなんて。
これで堂々とお前の側にいられる…」
「凛。俺達本当の親子として認められるぞ。
絶対、お前に不自由な思いはさせない。」
凛の頭を撫でて智がうれしそうに抱き寄せた。
挨拶もそこそこに感無量で橘家を出た俺達は、久し振りの我が家へ到着した。
冷えた部屋にエアコンとオイルヒーターを付けて、お湯を沸かす。
実感の湧かないまま簡単に昼メシを作ると、三人で食べる幸せに心がじんわりと温かくなった。
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