482 / 516

第484話

「ええっ!?」 突然大きな声を出して、隼人さんがテレビに食いついた。 何かと思えば、テレビの速報で『法的に同性婚が認められて戸籍上も夫婦として受理される』というテロップが流れていた。 オッサン'sやりやがったな。 根回しゴリ押し、上手くいったんだ。 「遙っ!おい、遙っ!!」 「そんな大声出してどうしたの?隼人。」 「俺達…本当の夫婦になれるかもしれないぞ。」 「えっ?どういうこと?」 「衆参両議院で、同性婚の認可が降りたんだよ! 詳しいことはまだわからないが…」 「…ホントに?嘘みたい…隼人っ」 抱きしめ合う二人から視線を外し振り向くと、智が近付いてきた。 「…翔…俺達も…同じ戸籍に…入れるのか?」 「あぁ。智…夫と妻として、やっと本当の夫婦になれるな。」 智の手を引き寄せて抱き締める。 「嘘みたい…そんな…法律で認められるなんて。 これで堂々とお前の側にいられる…」 「凛。俺達本当の親子として認められるぞ。 絶対、お前に不自由な思いはさせない。」 凛の頭を撫でて智がうれしそうに抱き寄せた。 挨拶もそこそこに感無量で橘家を出た俺達は、久し振りの我が家へ到着した。 冷えた部屋にエアコンとオイルヒーターを付けて、お湯を沸かす。 実感の湧かないまま簡単に昼メシを作ると、三人で食べる幸せに心がじんわりと温かくなった。

ともだちにシェアしよう!