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第485話
智もどこかしら心ここに在らずで、ぼんやりしている。
二日間の活躍を得意げに話す凛に、相槌を打つものの、集中してない自分がいた。
本当に、本当に世間に認められる家族になれるんだ。
紙切れ一枚、ただそれだけなのに、重みが違う。
そんな空気を感じたのか、凛は「おひめさまごっこする」と言って自分の部屋へ行ってしまった。
コーヒーを淹れてきた智と横に並んで、黙って飲んでいた。
智が沈黙を破って言った。
「なぁ、翔…間違ってたらごめん。
お前、俺の籍に入る話を全くしてこなかったのは、同性婚の法律が認可されることを視野に入れてたからなのか?
俺は直ぐにでもお前と正式な家族になりたくて、ずっと養子縁組をしようと思ってたんだけど。
ひょっとして俺の籍に…養子になることを迷ってるんじゃないかと不安だった。
『愛してる』とは言いながら、実はそこまで覚悟がないのかとも疑うこともあった。」
俺は最後の一口を飲み干して言った。
「あぁ。黙っててごめん。少し前にオッサンから聞いてたんだけど、ちゃんと法案が可決されるまでは、ぬか喜びにしたくなかったから。
一度養子縁組するとさ、籍を抜いてまた夫婦として申請して…って余計な時間と手間がかかるだろ?
それに、お前の戸籍をもう汚したくなかったから。
迷うわけないじゃん。覚悟なんか会ったその日に決めてたよ。
コイツらは一生俺が守っていくって。」
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