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第486話

智の肩が震え始めた。 うっ、ううっ、うっ 小さな嗚咽が漏れている。 その肩をそっと抱き寄せると、俺に身体を預けてきた。 そうか…何も言わない俺に、今までどこかしら不安に思って我慢してたのか。 だから箍が外れると、ちゃんとした言葉を欲しがったり、自己否定するようなことを言ってたのか。 どんなに愛の言葉をささやいても、智にとってそれは一時的なものに過ぎなかったのか。 控えめで優しくて、聡い俺の嫁。 静かに泣き続ける智の体勢を変えて、向かい合わせに抱っこする。 俺の首にぎゅっと抱きつく智の頭を撫で、背中をさすり続ける。 耳元でささやく。 「俺の言葉が足りないせいで、不安な気持ちにさせて悪かった。 でも、俺はいつだってお前のことを大切に、愛おしく思ってるんだぜ。 それは忘れないでほしい。嘘偽りのない俺の気持ちだから。 俺と本当の家族になって下さい。 智…愛してるよ。」 こくこくと頷いて、智がしゃくり上げながら子供のように声を上げて泣き出した。 少し身体を離して、ぽろぽろと溢れ出る涙を舌先で掬い取る。舐めても舐めても溢れ出る涙。 目尻にキスをして『愛してる』とささやき続ける。 溢れて留まるところのないこの愛おしい想い。 お前の気持ちに気付かなくてごめん。 きちんと伝えてなくてごめん。 お前を…愛し過ぎてごめん。

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