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第487話
どのくらいそうしてたのか。随分時間が経っていた。
智はやっと俺から身体を離し、真っ赤に泣き腫らした目を人差し指で擦った。
鼻も真っ赤だ。そんな顔もかわいくて…たまらん。
「…翔…疑って…信じてなくてごめん。」
震える小さな声。
「いや、俺が悪かったんだ。ごめんな、智。」
どちらからともなく唇をそっと合わせ、少し離れては角度を変えてまた口付ける。
ちゅっ…ちゅ…
いつしか舌をなぞり絡ませ合う深いキスに変わり、ぐちゅぐちゅと滑った音に煽られ、お互いが相手の頬を両手で挟んで求め合っていた。
頬から耳朶へ指を滑らせ、髪の毛を弄り、手だけで愛撫していく。
散々キスの雨を降らせ、息が上がって唇を離し見つめ合う。
智の瞳が揺らめいて、また潤んできた。
「泣くなよ…それとも…違う啼き方、するか?」
「…ばか。」
おでこを合わせて鼻先のキス。
気が付くと、外は夕暮れの明るさで太陽が沈んでいくところだった。
「このままエッチになだれ込みたいけど、凛も起きてるし…先にご飯にしよう。何食べたい?」
「何言ってんだよっ!翔のスケべ。ばか。
…鍋がいいな。野菜たっぷりの。そんで、三人で突っつきながら食べるの。」
「オッケー。買い物行ってくるから、先に風呂入ってな。風呂から出たら目、冷やしときなよ。」
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