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第489話

振動が俺の腕や胸に伝わってくる。 涙の溢れた後を舌先で拭い、目元にキスを落とすと 「うん、幸せだな。最高だよ。 三人でお前が作ってくれた料理を囲んで『美味い』って言いながら食べて。 少しでも様子がおかしいと心配してくれる…そう、『家族』がいて。 『大好き』ってハグして。 『愛してる』ってささやいてはキスして抱き合って。 時にはヤキモチ焼いたり、意見が合わなかったり誤解したりして喧嘩もするし。 俺も…こんな毎日を過ごせるなんて夢にも思わなかったよ。 守達には申し訳ないけど、三人で旅立たず、凛をこの世に残してくれてありがとうって…伝えたい。 凛…俺達のところへ来てくれて…ありがとう。 頼りない俺達だけど…家族でいてくれよな。」 がたんっ!ぼふっ! 椅子を蹴って凛が飛びついてきた。 物言わず、ただぎゅうぎゅうと俺達をその小さな手で抱きしめていた。 小さな手なのに丸ごと包まれている気がして、俺も泣きそうになった。 しばらく三人で無言のまま抱き合って… 突然凛が 「なべっ!つづきたべよう!! さとしも。ほら、しょうも!せっかくおいしいのにのこしたらもったいないから! はやくはやく!」 ふっと微笑んで翔を見ると、まだ潤んだ目で頷いた。 また賑やかな夕餉(ゆうげ)の時間が始まった。

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