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第498話
目を覚ますと、目の前に大好きな男の顔が心配そうに見つめていた。
「大丈夫か?」
「ん。大丈夫。」
すりっと猫のように甘えてその逞しい胸に擦りつくと、頭を抱えて抱きしめてくれた。
「お前を抱くと、優しくしたいのにセーブできない。ごめん、智。」
首を横に振って
「それでいいんだ。愛してくれたら。それで。」
顎を持ち上げられてキス。
ちゅっ と大きな音を立てて離れていく唇を追いかけて、俺からキス。
ちゅっちゅっと啄ばむようなキスを繰り返すと
「風呂入ろうか。俺が洗ってやるから。」
俺にしては珍しく、優しい夫の甘い申し出を素直に受け入れた。
ふわりと抱き上げられて彼の首に両手を回し寄り掛かかる。
熱いシャワーを当てられ、恭しく割れ物を扱うごとく洗っていく翔の仕草がおかしくて、つい吹き出すと
「何がおかしいの?」
と、途端に膨れっ面になるから、その鼻を摘んで
「大切に扱い過ぎる。」
と言うと
「大切なんだから仕方がない。」
と、今まで以上に丁寧に擦られ、撫でられて…
「もういいよ。自分でするから。」
わざとつっけんどんな言い方をしてスポンジを奪い取ると、また火がつきそうになる身体に気付かぬフリをして洗う。
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