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番外編・バレンタイン・キッス③

そして翌日。 愛する翔が帰ってきた。 「ただいまっ!さーとーしーぃ…智が足りなーい!」 玄関に入るなりガバッと抱きついてきた。 そして、はむはむちゅっちゅ とキスの嵐。 「お帰り、お疲れ様、翔。凛が見てるからぁー」 ぐいーっと両手で肩を突っ張って離れると、途端に泣きそうな寂しそうな顔になった。 あぁ、もう。 両頬を挟んで、俺から むちゅー っと濃厚なのを一発。 何故かお互いに真っ赤になって、そっと離れた。 それを見ていた凛が笑いながらリビングに走っていった。 指を絡ませながら見つめ合い俺達もリビングへ。 「ん?いい匂いがする!智、ご飯作ってくれたんだ?」 「うん。簡単だけどシチューな。」 「うれしいよ、ありがとう。腹減ったー!早く食いたいよぉ~」 たった一晩いなかっただけなのに、もう、それが我慢できない。 翔の顔を見ただけでホッとする自分に呆れながら支度をした。 「あー、美味かったぁ!智、ありがとう。」 「どういたしまして。一服したら風呂入ってこいよ。俺達は先に済ませたから。」 「じゃあ、お言葉に甘えて…何から何までありがとう、俺の奥さん!」 ちゅ と頬に派手なリップ音を立てて、意気揚々と翔がバスルームへ向かった。 「さとし、ありがとう!いただきまーす!」 待ちきれない凛は、口の周りにクリームをつけまくって、ケーキをぱくついていた。 「おーいしーーい!さとし、これ、しょうよろこぶよ!」

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