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第4話

 シャワーヘッドから霧のように出る温かい湯を浴びながら、光は昨晩の記憶を遡っていた。  決してアルコールを入れたわけではないのになんだかぼんやりとしか思い出せない。いや、ラウンジで食べたチョコレートにちょっとばかり入っていたかもしれないけれど、特に酔った感覚はなかった。  なのに、昨日の乱れっぷりは何だったのだろうか今までにない溶けてしまいそうなほどジャムっぽかった。ジャムっぽいってなんだ? と、自分の甘ったるい思考にベタつきを覚えて体を強めに擦る光であった。  光が浴室から出ると、待ち構えていたかのようにバスタオルをひろげたアンジェロがそこにいた。  彼はさあ来い、といった表情で光を見ている。風呂上がりの幼子に親がするようで、さすがに恥ずかしいと光はバスタオルを半ば強引に受け取った。 「拭かせてくれないの?」  なぜ拭かせにゃならんのだ。光は不機嫌を顕にした目線をアンジェロに向ける。すると、それに怯むことなくアンジェロは続けた。 「ドライヤーは俺がやるね」  決定事項のようである。  (僕を犬か何かだと思ってる?)  そんな光の不安はアンジェロの華麗な行動によって打ち消された。 「光」  バスタオルで身体にまとわりつく水滴をダンスに誘っていた光の後ろから声がかかる。  ウィスキーのような渋みとヴィオラのような張りを併せ持ったその声に光は自然と惹きつけられる。  そして、振り返った瞬間に水滴よりも軽やかなステップで近づき誘う男がいた。 「このあとデートにいきませんか?」  ストレートなセリフに光は目を丸くさせ、男を見つめる。そして、漂った花の香りに鼻腔をくすぐられ思わずくしゃみをした。  光から返答はなく、ただ頭に浮かんだことを口にする。 「僕裸なんだけど」

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