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第16話

「だから、NYにいるのは危険なんだよ」  チェリーレッドの家具で揃えられた部屋では南国らしい観葉植物が生き生きと葉を広げていた。  男は社長室のソファーに腰を沈める。柔らかめの革がしわを寄せて男の体重を支えた。  電話越しに少々焦った様子で声を荒げる。 「うちの株主名簿に不審なアクセスがあった。しかもNYからだ」  株主名簿を見られたからといって危険とはどういうことなのだろうか。 「前にも襲撃されたことがあるだろ! 忘れたのか? とにかく、一度タイに来てほしい。チケットはこっちで手配するから」  半ば強引に約束を取り付け男は電話を切る。こうでもしないと、自分の言うとおりに彼は動いてくれないことを知っているからだ。 「アンジェロ、俺の愛する人。頼むから心配させないでくれ」  男は両目に腕を押し当て大きく息を吐いた。 □□□ 「はい、これ」  パサッと音を立ててテーブルに雑に置かれた資料。光と景人はそれをまじまじと見てからそれが何なのか確認がてらパラパラとめくる。  その緩慢な動きにジャンルカはこいつら本当に探し人を見つける気あるのか? と疑いながらも調べたことを淡々と報告するのだった。 「Misted Tropicsの株主名簿だよ、そこにアンジェロ・バクスターという名前があった。調べる価値はあるんじゃない? でも、僕が関与できるのはここまで。変な連中に目をつけられたくはないからね」  紅茶に口をつけながらジャンルカは自分ができることはやった、後は知らん。といった具合で二人と距離をとるのだった。 「ありがとう! ジャンルカさん、これでアンジェロに一歩近づけた気がする」  光は瞳をキラキラと輝かせながら期待に満ちた表情で名簿に浮かぶ名前を指でなぞるのだった。

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