577 / 690
秋の日の夜に 2
二人と初めて会ったのはいつだったか?長く一緒に居すぎてもう忘れた。
6つ年上のさくらは小さい頃から女の子みたいに可愛かった。遥さんによく似てた。
いつもにこにこ笑ってて多くの人に囲まれているイメージ。
俺の初恋はきっとさくら。
いつも静かにそこにいるかえではさくらとは対称的であまり印象は強くなかった。
俺はいつもさくらを追いかけていた。
さくらが行くところには行きたがった。でも6つの年の差のせいでさくらにはさくらの世界があって俺がついていけないところも多くなった。
そしてさくらを追いかけるのをやめた
なんとなくさくらの邪魔をしたくなかった。
その頃さくらは祖母の友人であり母である朝陽と同じ事務所に入りモデル活動を始め今や飛ぶ鳥を落とす勢いで役者としても活躍している。
そうなると更に距離が広がった。
それに伴いあまり意識していなかったかえでと過ごすことが多くなってきた
2つしか違わないのにすごく大人びているかえで。
いつも難しそうな本を読んでいて。でもかえでに進められた本は読みやすくかえでの部屋の沢山ある本を一緒の空間で読んでいた
言葉なんて交わさなくてもとても居心地のいい空気だった。
かえでには恋愛としての好きだと言う感情はもたなかったけど、でも一緒にいる時間は好きだった
「ひな」
「ん?」
「今日さくら帰ってくるよ。ロケ先から」
「そうなの?」
「さくらに会ってくでしょ?」
「うん!!」
「ひなは本当にさくらが大好きだな」
「うん!大好き」
「…俺は…ひなが好きなのに」
「え?何?かえで?」
「何でもないよ。後一時間後に戻るよ。それまで続き読む?」
「うん!!」
ともだちにシェアしよう!