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そんなある日 15
その後数人を相手してひまの予約分を捌いた頃にはもう夜も明けていた
今も眠っているであろうひまの元へ向かった。
案の定ひまはまだ眠っていたので部屋に備え付けられているキッチンで簡単に料理をした
「は!!今何時!?ったい…」
「はよ。ひま」
「さくら?何で…?えっ?」
「昨日やり過ぎてお前潰しちゃったから…ごめん」
「どうしよ…仕事…昨日は予約一杯だったのに…」
「それなんだけど…俺が代わりに行ってきたから。」
「え!!さくらが?」
「うん。だって俺の責任だし…ごめんね。お前の客はみんないい人だね。俺でも嫌な顔せず我慢してくれたよ」
「そりゃそうでしょ。今や飛ぶ鳥を落とす勢いのさくらだもん!俺のお客さんって俺と好きなタイプ似てるからみんなさくらのファンなんだぁって…あ!!個人情報漏洩!」
カタカタ震えるひまを抱き締める
「オーナーにはヒミツにしておくね?」
「ありがとう」
「ひま。食べられそう?」
「うん。お腹すいた。いっただきます!!」
子供みたいに頬に沢山食べ物を詰めこみモシャモシャ食べる姿がハムスターっぽい
「ふふっ…そんな詰め込まなくてもとらないよ」
そういうと顔を真っ赤にして俯いた。その額に唇を落とし立ち上がる
「ごめん…俺…これから仕事で…ごめんね…」
「いっへはっはい」
食べ物をまだ詰め込んだまま手を振るひまを撫で部屋を後にした。
あれだけの人数をあんな小さな体でこなしてるなんて…
単純にすごいと思う…この世界は特殊できっとおかしな輩もいるだろうに…
一度ひまに訪ねたことがある。
ここから出たくないのか?って
「俺はここが好き。どれだけ年を重ねても求めてくれる人がいるのならここに居続けたい。ここが俺の家。お客さんがみんな家族だから」
一点の曇りもない目で語っていた。
「一緒になりたいって思う人はいなかったの?」
「いたよ?でもね…亡くなっちゃった…俺を身請けする日に…事故に巻き込まれて。俺がこれからも愛するのはきっとその人だけ。誰からの身請けの話も受ける気はない」
ひまの中にはまだその人が生き続けている。
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