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そんなある日 26
さくらside
俺に背を向け扉を開けようとする。
その姿をただ見詰めていた
これでいい…俺には二人の元へ帰る資格なんてない
10年も音信不通にしていたうえにはるちゃん達に嘘までつかせていた
そんな俺なん…
「…いやっ…やだっ…置いていかないで!」
俺は思わず二人の服の裾を掴んでいた
ゆっくりと振り返る二人は優しく微笑んでいた
「っ…ちがっ…違う!!違う違う!!帰って…二度と来ないで!っあっ…いやだっ…」
「さくら。もう大丈夫だよ。いいんだよ。頑張らなくていいんだよ。今度は俺たちにさくらが甘える番。我が儘いう番だよ」
「さくら。戻っておいで。俺たちの元へ…」
「うあぁぁぁぁぁあ…」
二人の前で子供みたいに泣きじゃくる事なんてあってはならないって思ってたのに…
もう…止められない…
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