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新たな旅路2
「なーちゃん!待って!」
「あーあ…撫子…面倒なのに好かれたね」
「え?そうなんですか?」
「あれ?桔梗くんは会ったことなかった?美陸と」
「莉音から名前だけはいつも聞いてました。
蘇芳さんと天音さんのお子さんだって。天音さんにとても良く似ていて綺麗な子だと」
「うん。でもねぇ美陸は喋らなきゃ置物みたいに綺麗なんだけどね…」
「かずと同じで一度好きになったら粘着質なの。あの子」
「そうなんだ…撫子…あんまりぐいぐいこられるの苦手なはず…」
「来ないで下さい!!」
おいかけっこしている二人を目で追った
「でもなんか…」
「可愛いね」
「来るな!!気持ち悪い!!」
「えぇ!!そんなこと言わないでよぉ!なーちゃん!」
「馴れ馴れしく呼ぶんじゃねぇよ!!」
「あれ?撫子って…」
「あ…あいつは本気でキレると…」
「てめー!!いい加減にしろよ!!」
ばたん!!
「あ…」
「あーあ…やっちゃった…すいません!!蘇芳さん天音さん!!あの子怒ると口悪くなって…投げ飛ばしちゃうんです…小さい頃から沢山格闘技習わせてて…全て…段持ちで…」
「あははっ!!やられたねぇ。みー!!あはっ」
天音さんが盛大に笑う。天音さんは以外に笑いの壺が浅いようで少しのことで涙を流しながら笑う。
「び…っくり…した…」
これで美陸も引くだろう…撫子が蔑むような眼差しで床に転がる美陸を見下ろしている。
めちゃめちゃ怖い…美人の怒った顔は…凍えるほど怖い…朝陽さんも怒らせるとめちゃめちゃ怖いし…
「近寄るな!この…クズ!!」
更に足蹴にされた美陸がうつ向いている
流石にこたえただろう…
「…き…好き!」
「はぁ!?」
「ギャップ…すげー…好き!好き!大好き!!」
「寄るな!!離れろ!!」
「美陸…あいつM?」
「あははっ!!撫子たじたじじゃん!!初めてみた!!あんな撫子」
「あ!莉音さん!いらしてたんですね。…にしても笑いすぎですよ」
「いやぁ…だってさぁ…外では完全猫被りなあいつが…くくっ…素が出てる…あはっ…あはははっ!!」
「父さん!!笑ってないでこいつどうにかして!!」
「えぇ。もっと見たい!!」
「どうにかしてよ!!」
「んもー…仕方ないなぁ…美陸くん!!これ!あげる!!」
莉音さんが放ったものを受け取る美陸。
「これ…これ…」
「うちの新商品!まだ発売前だよ。味見して?」
莉音さんの会社はお菓子も作っている。お菓子が大好きな美陸はいつも味見役をしている。あいつの舌は間違いないから。
あいつがgoサインを出したものは全てヒット商品となっている。
一旦落ち着いて小さな包み紙を開ける。口にするその姿は幼いが天音さんに良く似て綺麗
「莉音さん!」
さっきまで撫子を追い回していたのが嘘のように莉音のもとへ走り寄る
「これ。美味しい!パッケージは?どんな予定?」
「今日は持ってきてないんだ。だから次の予定教えてくれる?」
「はい!」
その姿に撫子も呆然としていた
「撫子?どうしたの?」
「あいつが…あいつがうちのお菓子の…産みの親…」
「まぁ…そう言われればそうだね」
「凄い…人なんだ…なのに…僕…」
「…撫子…大丈夫だよ…」
「なーちゃーーーーーん!!!!」
「うわっ!」
そして莉音さんとの話が終わると撫子のもとへ戻ってきた。
そしてまた追いかけっこが始まる…
「あのさ…これ…朝陽さんのパーティーって忘れてない?…」
「あ…」
結局最後までバタバタしながらパーティーは終焉した
さてさて…これから美陸と撫子の関係はどうなるんだろう?
少し楽しみだ…
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