633 / 690

新たな旅路 11

そこにいた男たちは振り返るとゲスな笑みを浮かべる。 「あれぇ?姫だ」 姫?なんだそれ 「わぁ!本当だぁ!姫ちゃーん」 「姫ちゃんも混ざる?」 視線の先には裸で押さえつけられている誰か。必死に抵抗している 「…これって…」 「ん?同意だよ。ね?」 「そうは見えませんけど?」 「そう?こんなプレイなんだよぉ。おいでよぉ」 「だめ!!なーちゃんには手を出さないで!!」 なーちゃん…そう呼ぶのはあいつしかいない… 「五月蝿いよ?美陸くん」 「だめ!!なーちゃんは関係ないでしょ!!やめて!!」 バカなやつ…何もできやしないくせに…僕を助けようとするなんて… 「その手…どいて?」 いつもより低い声が出る。その声に男たちは驚く 「姫ちゃん?」 「まぁ。何でもいいよ。やろーよー」 寄ってきた男を投げる 「え?…」 その姿に男たちはもう一度驚く。 でも人数が多いからか笑みを消さない。 次々やってくるやつらを薙ぎ倒してリーダーと思われる男を組敷く 「まだ…やる気?…そうならもう手加減しないけど?」 「…っ…いくぞ…」 男たちがよろよろしながら立ち去っていくのを見送る 「なーちゃん…ごめんねぇ…手痛いよね…あぁあ…血が出てるじゃん…ごめんね…ごめんね…」 泣きながら美陸が僕の手を握り傷口にハンカチを置く 「こんのっ!ばか!!僕のことじゃなく自分の心配しろ!大丈夫か?」 「俺は大丈夫…慣れてるから…」 「え?」 「…あ…何でもない…」 「話…聞かせろ…」 ほとんど無理矢理に家につれてきた。 両親は今日は泊まりで仕事だから帰宅しない。寮に戻ってもいいのだが今日は家に連れて行ったほうがいいと判断した 「蘇芳さんに連絡して」 「え…でも…」 「いいから…早くして」 渋々美陸は電話をする 「もしもし。蘇芳さん。撫子です。今日は美陸はこちらでお預かりします」 『え?大丈夫?撫子。お前美陸苦手だろ?』 「せっかくクラスメイトになったので…ちょっと辛抱してでも仲良くなってみようかと…席も隣ですし」 『そう?撫子がいいならお願いします。立野さんにはこっちからも連絡しておくね』 電話を切ると美陸がうつ向いていた。 「取り敢えずお風呂入っておいで」 「ん…」

ともだちにシェアしよう!