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新たな旅路 32

果林side 失恋…気持ちを告げることさえ出来なかった… 怖かった…相手は女の子がいいとずっと言ってたから俺が告白したら気味悪がられて嫌われてしまうんじゃないかと… そう思ったら友人という一番近くで安定した場所にいられたらそれでいいと… なのに…彼が選んだのは男…関係は俺よりも浅いはずだったのに… 「あぁ…もう…」 「浦部?どした?」 「ああ。部長。」 「何かあったか?」 「ん~…失恋した」 「そっか。ずっと好きだった人?」 「うん…まぁね。仕方ないよね…自分の気持ちなんて通じないってハナから思ってて…自分で行動しなかったんだもん、それが恋人になれたかどうかの差だよね」 「…」 「…でもね…自分で選んだ友人って立場は守れるよう頑張るね。ちょっと走ってくる!…うわっ!何?部長。どしたの?」 「あのさぁ。無理すんな。泣きたいときくらい泣けばいいだろ。そもそも今日部活休みだし自主練するのあんまいねぇから誰も見てねぇよ。ほら。泣け。」 「部長…っ…俺…俺…本当に…本当に…好きだった…」 「うん」 「あんなに遊んでたのにそれをやめるくらい好きだった」 「うん…」 「苦しい…苦しいよ…」 「うん…おいで。部室行こう。今誰も使ってねぇから」 「うん」 部室は物が散乱してるけど休憩スペースがあってそこには綺麗にしてある。そこは小上がりになってるから砂などもあまりない。そこに座らされて部長にずっと背中をさすってもらってた。 「俺ね…初めてだったの…こんなに好きになった人…見た目は儚いのに凄く強くて憧れで…」 「うん」 「大好き…だった…」 「うん…」 「どうしたら…忘れられる…どうしたらいいの?…」 「…忘れなくてもいいんじゃね?」 「え?」 「時間が解決してくれる…そんな日がいつかくるんじゃねぇかな?もしかしたら案外近くに新たな道があるかもしんねぇ。だからお前はそのままでいいんじゃねぇ?お前はその人しかみてなかった。だったらこれから他も見てみるといい。お前は一度決めたら突っ走る。それこそまわりみてない。いいことだよ?でもさ悪いとこでもある。だから…な?ほら。視野を広げてみて」 「部長?」 「ん?」 「えと…これは…どういう…」 「ん?押し倒してみた。お前の目に入るようにね」 「それって…」 部長はいたずらに笑って 「覚悟しておけ」 額に口づけた 「えと…えと…」 「弱ってるお前に漬け込む。俺はお前が好きだから」 「部長…」 「今日はこれ以上は何もしねぇよ。よいせっと」 そういうと体を起こしてくれた 「涙止まったな」 「あ。本当…」 「よしっ。んなら顔洗ってこい。走りに行くぞ」 「あ…はい。」 「いつまでも呆けてると…押し倒しちゃうよ?」 爽やかな笑顔でそんなこと言う部長に呆気にとられて。仄かに熱くなった顔を冷ますようにパタパタと手で仰ぎ水道へ向かった 「まじか…気付かなかった…あの部長が?俺を?」 部長side 「やり過ぎた…はずい…でも…好きなんだ…浦部…」
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