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クリスマス 3

「なーちゃん…どうして?」 「ん?」 「今日はバイトじゃないの?」 「今日は一年で一番大切な日。だって美陸がここにいる。この日がなければこうして側にいることも言葉を交わすこともなかった。だから一緒に過ごしたかった。付き合って初めての美陸の誕生日…。美陸を驚かせたかった」 「ありがとう…俺…」 「ほら。泣かないで。ね?」 なーちゃんが涙を掬ってくれる。 「美陸…生まれてきてくれてありがとう。僕と出会ってくれてありがとう…僕を選んでくれてありがとう。これからもずっとこうして隣にいさせてね」 「うん。」 「果林も協力ありがとう」 「どういたしまして。良かったね。みおちゃん。サプライズ成功?かな?」 「驚きすぎて…言葉でない…嬉しい…凄く幸せ…」 「ふふ…良かった。はい!これ!誕生日プレゼント」 そういうと小さな包みをくれた。 「開けていい?」 「いいよ。大したものじゃないけど」 小さな箱の中身はキラキラ光る誕生石を持った熊のキーホルダー。俺が可愛い物。特に熊のぬいぐるみが好きなこと覚えててくれたんだ… 「よかったら使ってね」 「ありがとう。可愛い…」 「それと…はい!クリスマスプレゼント」 もう1つ包みを取り出したかーくん。 「え?これも…いいの?」 「開けてみて」 いそいそと封を切ると中からは 「シャープペンとボールペン?」 「うん。それ撫子とお揃いのやつだよ。撫子の誕生日にあげたの」 「ありがとう!」 「それと…こんなときになんだけど紹介したい人いるんだ…もうすぐ来るはず…」 タイミングよくノックされる部屋の扉を開けるかーくん。それについて入ってきたのは 「雁部先輩?」 「彼氏です」 雁部 乙矢先輩がそこにはいた。 「あれ?いつのまに?」 「あれ以来そんなそぶり見せてくれなかったからかえって気になっちゃって…俺の方が好きになっちゃった。してやられた感じ」 「おめでとうございます!雁部先輩!」 「ありがとう」 「美陸。部屋戻ろう?」 「蘇芳くん。誕生日なんだろ?」 「はい。」 「これ。プレゼント」 「え?先輩まで用意してくれたの?」 「あぁ。こいつに聞いたから」 「今日はごめんなさい!せっかくのクリスマスなのにかーくん取っちゃって」 「いや。構わない。それでこいつも喜んでいるから」 「これ…開けてもいいですか?」 「あぁ」 中から手帳が出てきた。 「仕事で使うんだろ?気が向いたら使ってくれ」 「ありがとうございます!」 「ケーキ食べよ!」 「え?でも二人のお邪魔じゃ…」 「だってみおちゃんの誕生日じゃん!一緒に祝おうよ!だめ?早く撫子と二人になりたいだろうけど」 「主役は美陸だから決めていいよ。二人になれる機会は沢山あるんだし」 「じゃあ…みんなで食べたい!先輩いいですか?」 「俺は賑やかな方が好きだから問題ないよ」 そうしてみんなで祝ってくれて… こんなに楽しかったのは凄く凄く久しぶりで… そのあともみんなでゲームしたりお話ししたりして過ごした。 そうして夜も更けていきいい頃合いになったので部屋に戻った

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