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クリスマス 2
乙矢side
今とても緊張している。自分から言ったけれど立野は俺の父親の勤める会社の社長の息子だ。粗相があってはいけない。
つい先ほど恋人である果林から連絡があり今夜の主役である蘇芳が部屋についたそうでそれに合わせ俺も扉を叩いた。
「どうぞ」
中から透き通るような凛とした声が響く。
中に入るといそいそと楽しそうに飾りつけをしている姿が目に入った
「先輩。こんばんは。今日はありがとうございます」
お手本のようなお辞儀をする立野に息を飲む
「先輩?もしかして緊張してます?」
「あぁ。少し…」
誤魔化したって目の前のこの人には伝わってしまうだろうから素直に認めた。
「大丈夫です。父と僕は違う人間です。僕は貴方と仲良くしてもらいたい。変に気を使って欲しくない。難しいかもしれないけれど…
あ!来てもらって早速で申し訳ないんですが…これをあそこにお願いしたいんです。僕じゃ台を使っても届かなくて」
そっと手渡されたガーランドを手に取りバランスを考え飾り付ける。
バランスを考えるのは結構好きだ。
そうして立野の指示を聞きながら飾りつけを全て終え一息つく。
「先輩ありがとうございました!凄く助かりました!お茶いれますね」
お茶を飲みながら話をする。
「後は…果林からの連絡を待つだけですね」
そわそわしてる姿が妙に可愛くて思わず笑みがこぼれた
「あ…先輩」
「ん?」
「なるほど…」
「え?」
「ふふ…」
だから何だ?
「…果林が貴方に心を引かれた理由がわかりました。果林のことよろしくお願いします。果林は悩みを隠すのがうまい。甘えるのが下手。でも今日の貴方の姿を見たら…ふふ…果林のこと任せられる気がしました。ううん。貴方じゃなきゃ果林はだめですね。まだお付き合いしないのですか?相思相愛に見えるけど」
まだあいつが話してないのに話すわけにはいかないから曖昧に笑い誤魔化した
「そうみえたのなら嬉しい。俺はあいつにベタぼれだから。」
「でも果林は貴方に以前告白されたときから最近はよそよそしくなってそれがなかったことにされてるのかな?って心配してました」
そんなこと心配してたのか…そう思うとニヤけそうになる
果林に告白したときはまだあいつは立野のことが好きで忘れられてなくて…というのを肌で感じられるくらい苦しい空気を出してたから焦らなくていいと思った。
遠慮せずに行くとは言ったけれどそんなのあいつが悩んでしまう気がして…だからこれまでより少しだけ距離をおいて見守ろうと思って…それが不安にされてしまってたということはその頃から俺には少ないけれど可能性はあったのかな?って思うと嬉しい
「先輩?」
「ん?」
「ありがとうございます。果林の本当の姿を…ちゃんと見付けてくれて」
そういって何かスッキリしたように笑顔を見せてくれた立野は少し幼くて可愛くて綺麗で…強くて…果林がずっと思っていたのを改めて思い知らされて…
でも俺が誰よりもあいつを想っている。それは俺の中で絶対譲れない真実で…
「俺はあいつを幸せにはできないかもしれない。でもどんなときでも一緒に乗り越えられるという自信はあるよ。あいつが俺を選ぶのなら俺は一生離さないつもりだ」
「果林は幸せになりますよ。だって僕の一番大切な親友ですから。果林の隣には貴方がいる未来。それしか考えられない。果林の隣に別の誰か?そんなのあり得ない。僕は貴方しか許しません。って…僕にはそんな権限ないんですけどね」
いたずらに笑う彼だが瞳には強い光を宿している。
絶対的オーラ。逆らえない何かが見え隠れしていた
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