96 / 690
第96話
望月side
翌日、愛斗は振られたと笑っていた
友達にはなってくれるって言ってもらえてそれだけでも嬉しいんだと。
そこまで落ち込んでいないようなので安堵するも本当は辛いのかもしれない…と余計なことまで考えてしまう
その日から昼休みには必ず会いに行く様になっていた。
面白く無い…
先輩には付き合って居る人がいてその人のことが大好きなんだ、自分の入る隙なんて無いんだと笑顔で話す姿が痛い…自分のことを見てくれない人に会いに行くことは辛く無いのだろうか?
俺なら出来ない。
仮に愛斗に告白して同じ理由で振られたとしよう…俺には友達で居たいなんて言う自信はない。側にいるのは苦しいだけだ…
放課後も会いに行き一緒に帰るのも辛いだけだと俺なら思うが…
暫くはやりたい様にやらせてやろうと思い見送った。
その日の帰りに瑛ちゃんと彗ちゃんとたまたまでくわした。
愛斗から話を聞いているのか心配そうにして居た。その時先輩と話して状況を教えて欲しいと言って居たので翌日愛斗について行った。
愛斗を見る先輩達に苛立ちを覚える。可愛い可愛いと彼方此方から漏れてきている。当の本人は全く気にならないらしく慣れた様に先輩の側へ立った。
この人が愛斗の好きな人…そう思うと知らず知らず眉間に皺が寄った感覚があった。これではいけないと思うが中々普通に出来ない。
俺を見た先輩は表情は見えないが何と無く居心地が悪かった。話してみると案外悪い人ではない様な気がした。愛斗も楽しそうだった。
多くは発しないが聞こえる声はやはり心地の良いものだった。
ふと周りに顔を向けるといかにもチャラそうな見た目の美人が一瞬真顔になり俺を見た気がしたが知らぬふりをした
ともだちにシェアしよう!