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「星夜。あのときはすまなかった」 十夜さんが頭を下げる。それを真似朝陽さんも頭を下げた 「顔上げてください」 そういうと2人は顔をあげた。朝陽さんは涙を浮かべてた 「…俺ね、思うんです。あのことがあったから絆がもっと強くなったのだと…。あれがなかった方がもしかするといい人生だったかもしれないです。でもあの出来事があったからこそ互いの大切さを…離れてしまった寂しさを…そして命を大切にすることをもっと理解できた。あれから長いこと離れ、別々の道を歩み互いに多くの違うものを見てきた。だからこそ昔以上に愛することができるようになった。美那さんが教えてくれたのかもしれませんね。そう簡単に言えることでもないですし俺がいう立場でもないのですが…それに俺あの日のこと一度だって腹が立ったことってないんです。愛する人に裏切られたと世間では思うしどんな理由があったとしても許せないことだっていうかもしれないけど。俺は朝陽さんはもちろん十夜さんのことも尊敬してましたから」 「けどそのことでお前らの仲を遠回りさせてしまった」 「だから言ってるじゃないですか。あの時間は必要なものだったと。俺たちはその試練を乗り越えたからこそ今こうして愛し合えているしみんなで揃って笑えるんです。幸せなんですって。だからもういいんです。だって今もちゃんと隣に朝陽さんがいてくれている…二人の愛の形である陽向もいる。あれがなければこんな未来はなかったのかもしれないですよ。きっと偶然なんてないしすべて必然。そう思います。俺は朝陽さんを愛しているし十夜さんも夕燈さんがいる。あの事がなければきっと十夜さんは夕燈さんを選んでいないですよね。だって始まりのこと聞きましたから」 十夜さんと夕燈さんの馴れ初めは聞いた。きっと普通にはその道にはたどり着いていないと思う。だって始めは夕燈さんを朝陽さんの代わりにしていたといっていたから。そうなったのもあの日俺と朝陽さんが離れてから二人は仲を深めたから… 「そうだよっ!十夜。もしすんなり二人がうまくいったんじゃ今こうして俺の隣にお前はいないもん」 「夕燈さん!おかえりなさい」 「陽向寝ちゃった」 すやすやと気持ちよさそうに夕燈さんの背中にいる陽向を抱っこする 「あーちゃんたちには辛かったことだよね。でもね俺あれがあってよかったって思ってる。じゃなきゃあーちゃんの代わりになるなんて絶対思いつかなかった。きっと莉音のときみたいに好きな思いを隠し続けてずっと好きでもない誰かと体を重ね続けてきっとボロボロになってたって思うよ。俺は傷ついたお前に救われたんだよ。十夜。だからもういいんじゃないかな?十夜もあーちゃんもそれを思い出にしたってさ。罰は当たらない。だってこれまで沢山苦しんだじゃない。ね?星夜。今こうして隣にいて愛してくれてんだもんね」 「はい。その通りです」 「んん…夕ちゃん…」 「お。ひな起きたかぁ?」 「あれ?お父さん。あっ!!!そうだぁ!あのねあのねみんなの貝見つけたよぉ。夕ちゃん!夕ちゃん!」 「はい。どうぞ」 そういうと小さなポーチから一つずつ貝殻をだしてくれた

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