684 / 690
海
「えとねぇ。これ!これが十夜くんと、夕ちゃん。」
そこには白い丸みを帯びた貝殻と光が当たるとキラキラと光る黒っぽい貝殻。
「あのね!この黒いのがね白いの抱っこしてるみたいに落ちてたの!だから十夜くんと夕ちゃん!黒いのね光が当たるとキラキラするから十夜くんみたいなの!カッコいいでしょ?そんでね!白いのは夕ちゃんみたいに綺麗なの!真ん丸で優しい夕ちゃんみたい!」
そういいながらしゃがみこみ寄り添うように並べる陽向
「こうやっておちてたの!ほら!ね?十夜くんと夕ちゃんみたい!仲良しさんなの!ふふっ!」
「ほんとだね。見つけてくれてありがとう。陽向」
「うん」
十夜さんは陽向の隣に座ると優しく撫でる。きっと十夜さんはいいお父さんになると思う。仕事で忙しくても陽向を見付けると沢山遊んでくれる。そんな十夜さんが陽向は大好きだ。
きっと十夜さんと夕燈さんに子供ができたら子供と十夜さんが一緒に遊んでいる姿を夕燈さんが幸せそうに見つめて料理するんだろうな
「それでね!これがねぇ!僕とお父さん!」
そこにあったのは朝陽さんの貝殻と似た形をした青っぽい貝殻と緑っぽい貝殻
「あのね!僕たちのはお母さんのとおんなじがよかったの!」
「そうなんだね」
「うん!」
「もっと沢山見つけにいこう!」
「はぁい!!あのね!あのね!僕ね、みーんな大好き!お父さんとお母さんも、夕ちゃんと十夜くんもみんな仲良しでずーっと一緒にいたいの!」
陽向がきらきらの笑顔で言う。
ね?だから言ったでしょ?こうやって一緒にいられるためにはあれが必要だったって。じゃなきゃ夕燈さんの隣には十夜さんいないし俺たちもこんなに強く結び付かないんだから
「陽向の笑顔がこれまでのことの答えですよ!さ!笑って?十夜さん。朝陽さん!いきましょ!陽向が待ってるから」
「うん!」
陽向はみんなを明るくぽかぽか暖かくして欲しいと思ってつけた名前。
あのときの傷はきっと癒えることはないのかもしれない。けど陽向の存在でその悲しい記憶がいつか優しい記憶になれることを俺はしんじてます。
この海でこれから沢山暖かい思い出、作りましようね。
ともだちにシェアしよう!