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第14話

場所を変え俺は隅田に連れられ音楽室にいた。 「片桐の声ってさ低いけど何かぐわーって心に刺さって何だろう?何か…ん〜…エロい」 「エロ…お前やっぱ変態」 「ハハッ…まぁなんて言われてもいいけどさ。でもこの曲はお前の声がいい。お前の声貸して欲しいんだ」 「歌わない」 「どうしても?」 「…」 「…音痴?」 「まぁそんなところ。だからお前が大切にしてる曲は歌えない。汚れてしまうかもしれないだろ?」 「ん〜…わかった。今日のところは引き下がる。でも取り敢えず聴くだけ聴いてよ」 「わかった…」 ニヤリと笑った隅田がピアノへ向かう。ただそれだけなのに空気が一変する。 俺の中で認識しているチャラい隅田が消える。演奏が始まると更に違う。 紡ぎ出す音は繊細で、でもしっかり意思を持ち力強く体の中に染み渡っていく。うまい言葉が見つからない。ただただ心が震えるのだった。 こいつは凄い奴だ…言葉が出ないのだった 演奏を終えるといつものチャラい隅田に戻った。 「お前何者?」自然と声に出ていたらしい 「何者って…俺は俺だけど…俺さ小さい頃から音楽に触れる機会が多くてさ。気付けばこんなんなってた。曲を書くのも詞を書くのも楽しくてしょうがない」 「ただ好きってだけじゃないだろ」 「と言うと?」 「お前プロだろ?」 「…」 「遥」 「…ご名答」 「やっぱり」 今巷ではこの人の歌を歌えれば必ず成功すると言われている奴がいる。それが遥だ。 遥のプロフィールは一切公表されていない。この正体を知るのはおそらく事務所のごく一部の者に限られるだろう。それが今目の前にいるチャラ男なんて誰が思うだろうか。
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