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第16話

「あのさ。実は俺双子の兄がいるんだけどさ」 そんなの嘘だけど… 「兄貴だったら俺と声全く一緒だからそいつにお前の曲歌わせたらまずい?」 とても思い入れのあるいい曲で表に出ないのはもったいなくてそう提案していた。 純粋に俺も歌ってみたくなっていた。でもこの片桐 星のままなら誰にも注目されない。だったら本来の俺で歌った方がいいだろうと思ってのことだった。 「お前兄貴いるの?ヘェ〜意外だな」 「ただこの事はお前以外知ってる奴はいないから口外はしないで欲しい」 少し話して見た隅田は友人は多いがこのことを口外するような奴じゃないことを確信していた。 「バレたら色々やばい人なの?」 「そうだな」 「まぁ口外したところで俺にはメリットは少ないしな。俺にもリスク伴うし」 「そうだな。でその兄貴に会って一旦話して欲しいんだけどさ」 「会って話さないと俺が欲しい声かわからないしな。わかった。いつ会わせてくれる?」 「まず連絡とってみるからお前の連絡先聞いておいてもいいか?」 連絡先を交換し別れた。 家に戻り母に連絡を入れた。母は俺のマネージャーも勤めているから一言伝えておかなければならないと思った。 「もしもし。母さん?」 「どうしたの?今日はオフのはずだけど」 「俺が曲を出すっていったら可能?」 「何度話が来ても断っていたあんたがどういう風の吹き回し?」 「歌いたい曲に出会ったから」 「そう…全く問題ないと思うわ。それは凛ちゃんの念願なんだから」 凛ちゃんとは俺の所属事務所の社長で俳優の道を勧めてくれた母の友人のことだ 「わかった。なら一応凛ちゃんにも連絡するよ」 凛ちゃんが社長なんて呼ばないでと言うので昔から俺は名前で呼んでいる 「あ。それならいらないわよ。今凛ちゃんと一緒だから。横で全力でOK出してる」 「そう…それなら大丈夫だね。取り敢えず今日その曲の作り手と会ってくる」 「1人で平気?」 「問題ない」 「わかった。また何かあれば連絡頂戴」 「うん、じゃあな」 電話を切り直ぐ様隅田に連絡を入れた。 「兄貴今日は時間が取れるらしいんだけど今からでもいいか?」 「いいよぉ〜今から送る住所に来てもらえると助かる」 「その方が都合がいい。じゃあ後で行かせるから」 「片桐は?来ないの?」 「悪い。俺はこれから用があってどうしてもいけない」 「オッケーお兄さんはそれで大丈夫なの?」 「あいつは俺とは真逆の性格してるから平気だと思うよ」 まぁ行くのはどうせ俺だし

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