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第20話

額にキスを落とす。 それにビクッと反応するのを見て自然と笑みがこぼれる。 額、まぶた、頬、至るところにキスを落としていく キスだけでとろんとした表情を浮かべる目の前の人。 学校で優雅に振る舞って誰からも憧れられてそんな人の知らない一面にどうしようもなく興奮する。こんな顔知ってる奴少ないんだよな… 何となく優越感に浸る。 耳朶、首筋、そこを触れたときに甘い声が漏れる。 「ここ弱いんだ…」 「そこで喋らないで…」 「可愛い」 更に顔を真っ赤にする姿は誰にも見せたくないほど可愛かった。 「なんなの?可愛すぎ…まだ何もしてないのに…ねぇ、ここにキスしてもいい?」 指先で唇に触れながら聞く。もしかするとそこは嫌だと言ってくるかもしれないと思ったから 「して…?」 「了解」 柔らかい唇に啄むようなキスを落とす。 「まさかファーストキスってわけじゃないよね?」 「…ごめん…初めてです…」 「マジで?…それ最高…」 まさかの出来事だった。この綺麗な人の穢れない場所に初めて触れることができるなんて… 「初めては好きな人が良かったんじゃない?」 「それなら叶った…僕は貴方が好きだから」 「ファンの一人ってこと?」 「うん。貴方を初めて知ったのは10年ほど前で舞台の上でキラキラ光る貴方を見つけた。それから貴方の出てているものは全て見に行った。1ファンとして応援していた。だって本人に会えることなんて叶わないと思っていたから」

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