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台風

「夕燈さん」 「十夜。天青は?」 「さっき眠りましたよ。他の子より大きいです。うちの子」 「あははっ!十夜に似た?」 「そうかもですね。俺もデカかったらしいので。今日はゆっくりしてお昼から同室になるけど平気?きつかったら預かってもらえるから遠慮しないで。無理はしないでね」 「…」 「どうしました?」 「俺には無理だって思ってんだ?」 「は?」 「朝陽と違って俺にはできないって思ってるんでしょ!?」 「何を言ってるのかわかりませんけど」 「だって!!だって!!」 わかんないけどなんだかボロボロと涙が溢れてきた。 「朝陽はちゃんとできたもん!でも俺は朝陽じゃないから!だから!」 俺を黙らせようと十夜が口を塞いだ。 「落ち着いて。夕燈さん」 「だって!痛いのやだって!一杯言っちゃった…お母さんなのに…もういやっ!って…俺…俺…不安しかない…できない!朝陽みたいにできないっ!」   「朝陽みたいにできないなんて当たり前じゃないですか」 「ひどい!!そんなの!」 「別に夕燈さんにそれは望んでない」 「っ!!俺なんて…いらない…そうだよね!だって十夜は朝陽が一番だもんね!俺と一緒にいるのだって同情だもんね!ちょっとだけ見た目が朝陽に似てるから!だから側においてる。それだけだもんね!!」 「…夕燈さん。俺言いましたよね?あなたを見ているって。朝陽じゃなくて夕燈さんをみてるって!」 「十夜…十夜が…怒鳴ったぁ…」 「あ…ごめんなさい…泣かないで…ごめんね」 自分でも感情のコントロールができなくなって涙も暴言も止まらない。十夜は確かに俺を愛してくれてるってわかってるのに何で俺は…

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