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第39話
朝陽side
たまたま保健室の外の庭を通った時、かすかに開いたカーテンの隙間を何と無くのぞいた。
そしてすぐに後悔した。
星くんが隅田くんと抱き合っているのを見てしまったからだ。
隅田くんは星くんの肩に顔を埋めそんな隅田くんを優しく摩るせいくんはとても苦しそうな顔をしていた。
溜まっていく涙に気付かないフリをして早くその場を離れたくて駆け出した。
隅田くんはとても明るく人懐っこくて顔も美人だ。男性に使う言葉ではないけれどその言葉が合う人だと思っていた。パッと見た目は遊んでそうだけどその瞳の奥は芯が通っている人。ふと見せる表情は憂いを帯びて惹きつけられるものがあった。
星くんと同じクラスで席も近く、人とあまり関わりを持とうとしない星くんが唯一普通に会話している人。
元々僕とせいくんの関係は体の関係だけだ。たまたま体の相性が良く星くんがこの体を気に入ってくれて成り立っている関係だ。何度も体を重ねていればそのうち心も僕と同じになってくれるんじゃないかと淡い期待をしていた。
気持ちがなくても一緒に居られることが嬉しいなんてあんなの嘘だ…僕はこんなにも星くんが、星くんの心が欲しいのに…ずっと側にいたいのに…僕はいい子でいようと本音を言えずにいた。
その日の夜明日あのマンションに来て欲しいという連絡が入る。話しがあるって…隅田くんのこと?この関係終わりたいって話かな…?
行きたくない…でも…最後になるかも知れないから行かなくちゃ
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