41 / 690

第41話

先にマンションについた俺は着替えを済ませ朝陽さんを待った。 俺がやろうとしていることは俺の一存では出来ないからどうしても朝陽さんに話をしないとならなかった。 そう言えば、終業式の挨拶の時朝陽さん元気なかったな…体調でも悪いのかな…無理させるかな…でも… 考えていると部屋の鍵が開く。 「お待たせ。ごめんね」 顔は笑っているが目の中に動揺の色が見えた気がした。 「俺もさっき来たばかりだから大丈夫です」 「話って何?隅田くんのこと?」 「え?何でそれを」 「やっぱり…隅田くんとはすごく仲が良いからまさかとは思っていたけど…」 「朝陽さん。隅田のこと何か知っているんですか?」 「知ってるも何もその事で呼んだんじゃないの。隅田くんとお付き合いするから僕との関係を解消したいって…」 始めは凛としていた顔が徐々に崩れ今大粒の涙を流しながら早口でまくし立てる朝陽さんを見て、不謹慎ながら可愛いと思った。 笑いを噛み殺して目の前の朝陽さんを抱き締め頭を撫でる。そのまま上を向かせキスを落とした。 そんな俺を一生懸命押し返した朝陽さんは更に続ける 「お願いだから…もう期待させるようなことしないで…離れたくなくなっちゃうから。大丈夫…縋ったりしないから…諦めるから…だから…お願いだから…」 しゃくりあげて言う朝陽さんが可愛くて愛おしくて…これが好きだと言うことなのかも知れない。何度も体を重ね、色々な表情を見てこの人無しではもういられなくなってしまっていた 「朝陽さんが俺から離れたいと言うなら残念だけど従います…」 そう言うと朝陽さんはまたボロボロと涙をこぼす 「でも聞いてください。隅田とは何もないです。何を勘違いさせたのかわからないけど…」 「だ…だっ……て昨日保健室で隅田くんと抱き合って…」 「見てたんですか?」 「…うん。たまたま少しだけカーテンが開いてて…そこから…」 「はぁぁ…そうでしたか。それ理由があるんです。聞いてくれますか?」 昨日の事を包み隠さず話した。隅田が遥ということ、伊澄が隅田の恋人であると言うこと。今の隅田の置かれている状況… 隅田と伊澄には話すことを了承してもらっていた。 「それでも俺から離れるんですか?俺はやっとあなたのことが好きだと…特別だと…他なんかいらないと…気付いたのに」 「せ…い…くん…それって…」 「そのままの意味です。俺はもう朝陽さん無しでは入られません。だから…」 全て言い終わる前に朝陽さんに唇を塞がれた。その大きな目にはまだ涙が浮かんでいて…でもそれはさっきまでのとはまた違う涙だった。 そのまま押し倒してたくさん甘えさせたかったけど話しが先だと思い堪えた

ともだちにシェアしよう!