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第42話
「朝陽さん、俺は今まで誰かのために何か出来ないかと考えたことありません。でもどうしても隅田を放って置けなくて。
Luna e soleは今遥のお陰で売れている部分が大半だと思うんです。
以前は…遥が楽曲を提供する前はプロ意識も高く、色物ではなかった。正統派アイドルです。
あんなに実力があるのに自分たち自身で遥の曲に甘んじ、以前の真剣さが削がれてしまっているように思います。
これではせっかくの実力も封印される。遥に依存し続けるのならば恐らく潰れます。
遥がもう限界を迎えているからです。
でも遥を脅す材料をまだ手元に持っている彼らがそう簡単に遥を手放すとは思えません。
恐らく、俺と朝陽さんのことや隅田と伊澄先生のことを盾に取り隅田が完全に壊れてしまうまで寄生し続けてしまう。そうなってからはもうどうすることも出来ないんです…
だから俺たちのこと世間に公表し脅しの材料を無くしてしまいたいんです。でもそれは朝陽さんにも、華陵院グループにも悪い影響を及ぼしてしまいかねません。だからどうしても朝陽さんに話しておきたかったんです。朝陽さんのことも相手はもう調べ上げています。どうしたって華陵院に打撃を与えてしまう」
朝陽さんは黙って聞いていた。
「取り敢えず家族へ話をして来てもいい?」
どこかに電話を始めた朝陽さんは30分程して部屋に戻って来た。
「星くん。いいよ。公表しても。父の許可が下りた。華陵院を甘く見るなと逆に言われてしまった。伊澄先生の方も大丈夫。安心して」
「伊澄先生の方も?」
「うん…僕には強い味方がついてるって改めて知った…」
そういう朝陽さんは頼もしかった。
そこからは色々なことが早急に片付いていった
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