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第53話

きっちりと閉められたカーテンから漏れる光はなく時間もわからない 夢なのか現実なのか朧げな意識の中で聞いた声は誰の声だろう… 「星夜〜ただいま!いい子にしてた?」 覚醒しきれない俺の頭に響いた声は思い焦がれた人ではなく自分が裏切り傷付けた人の声だった 「星夜…可愛い…こんなに虚ろな瞳なんて…今は僕だけのもの…はぁぁ…可愛い…」 チュッ…チュッ… 何度もキスを落とすなずなの顔は恍惚とした表情をしていた。俺から全ての玩具を外し赤く染まったその部分達に愛おしそうに触れていく… 「はぁ…星夜…沢山零して」 色々なところから出る液体を美味しそうに舐めとっていく 「そんなにこの子達良かったの?エッチだねぇ…星夜は…僕の手じゃなくても楽しめちゃう子になっちゃったんだね〜…はぁぁ…この子達にまで嫉妬しちゃうなぁ…」 先ほどまで俺の中にいた玩具を舐め上げ俺の目の前でガチャガチャと揺らした。 「この子達まで星夜の味…美味しい…」 「なず…」 「やっと目を見て呼んでくれたね〜嬉しい」 掠れた声を振り絞り話しかける 「なず…ごめん…」 「何が?」 「俺はどんな仕打ち受けてもやっぱりなずを受け入れられない」 「星夜何言ってるの?別に今更君に何も求めないよ。ただ僕と同じ事して何より強い星夜を壊したいだけだよ」 「いつまで俺をここに閉じ込めるつもり?」 「壊れてしまうまでだよ」 「なず、俺の仕事知ってるでしょ?こんなこと長く続けられないよ。直ぐに誰かが見つけてくれるから。そうなったらなずはどうするの?」 「何度だって星夜を攫いにくるよ。当たり前でしょ」 「なずはそれで幸せになれる?」 「…」 「なずが本当に欲しいものは何?」 「欲しいもの?星夜の絶望?かな?星夜一気に喋りすぎ…黙ってくれる?」 何処からか猿轡を取り出しかませた 「ご飯準備してくるからいい子に待っててね」 部屋を出て行く後ろ姿は軽やかだった。

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