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第54話

朝陽 side 結局その日も連絡が取れないまま時間だけが過ぎて行った あんなに責任感の強いせいくんが何も言わずに周りに迷惑を掛けるなんてあり得ない。 やはり何かに巻き込まれてしまったのか…無事でいるだろうか… そんな想いを抱きながらその日も思い当たる場所へ行く。 いざ探してみるとせいくんの行きそうなところが全く見当もつかなくて苦しい…せいくんのこと何も知らないんだな…そう思うと自然と涙が溢れてくる… せいくん…無事でいて…痛いくらいに自分を抱き締めた。 「せいくん…」 高い空に僕の呟いた言葉は吸い込まれて行った

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