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第57話

朝陽side せいくんがいなくなった日から10日程過ぎた 「今日も見つけてあげられなかった…」 空を仰ぐ。一頻り泣いた僕は公園のベンチに腰掛けた。 やっと引いた涙も日が陰ると落ち込みまた溢れる 「ねぇ。君。どうしたの?」 突然聞こえた声に驚いて顔を上げた 「…?あなたは…保科さん」 「あ。朝陽くん。久し振りだね」 「はい。お久し振りです。いつからこちらに?」 「さっき帰国したばかりなんだ」 「何でこんな所に?ご自宅は隣町ですよね?」 「そうなんだけどね。この辺に会いたい人が住んでいて」 「お約束されてるんですか?」 「いや…その人にとても酷い事をしてしまって…会いにいく勇気がなくてね…」 「大切な人なんですね」 「うん。朝陽くんはどうしてこんな所で…泣いてるの?」 「大切な人が居なくなってしまって…それで関係者の人と一生懸命探しているんだけど見つからないんです」 「もしかして君の恋人かい?」 「はい。彼は誰かに迷惑をかけるような人じゃないんです。だから何かに巻き込まれてしまったのだろうと…」 保科さんは良く華陵院へ出入している取引先の社長だった。とても人当たりが良く年齢も若く話しやすくて仕事以外のことも相談に乗ってもらったりしていた。だから僕が男の人しか好きになれないことも相馬星夜に焦がれて居たことも全て知っている数少ない人の1人だった。 「保科さん。その会いたい人絶対会いに行ってください。どんなに酷い扱いをされたとしてもちゃんと伝えられれば変わるはずです。保科さんの良い所は僕が知って居ますから。だから後悔だけはしないで」 「ありがとう。君の恋人も見つかるさ。直ぐに。無責任な言い方かもしれないけど」 保科さんの想いが届きますように…目を閉じて願った。

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