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第65話
久しぶりの自分のベッドは気持ちよくそこに朝陽さんがいてくれるという安心感と溜まりに溜まった疲労からあっという間に眠りに落ちていた。
朝陽さんはどんなことがあっても俺を好きだと言ってくれた。きっと本音なのだろう。でもこのまま何も伝えず過ごしていいのだろうか?
なずなは保科さんと話す事は出来ただろうか?保科さんへの想いは伝えられたのだろうか?保科さんはとても優しそうな人だった。俺と少し似ていたと言っていたけれどそれはなずなの勘違いだ。
俺はあんなに大きな人間では無い。あんなに大人でもない。
あの人ならなずなを救えるだろうか?救って欲しいと願う。人任せにしか出来ない俺の弱さに呆れた。
目を覚ますと外は明るくなっていた。まだ少し体は重いが随分とマシになっていた。隣にいるはずの朝陽さんがそこにはいなくて不安になる。寝室を出るとすぐに朝陽さんは見つかった。
「おはよう。せいくん。さっきくるみさんがきて色々置いていってくれたからご飯作ってた。勝手にキッチン使っちゃってごめんね。食べられそう?」
「はい」
本当はあまり食欲は無いのだけれど朝陽さんが作ってくれた物を食べたくてうなずく
「いただきます」
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