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第66話

朝陽さんの料理は優しい味がした。 「美味しいです」 そう言うと嬉しそうに少し照れたように笑った 「朝陽さんは料理もできちゃうんですね」 「せいくんもできるでしょ?調理器具ある程度揃ってたし調味料も凝ってたよ」 「作り出したらはまって。凝り性なんですよね」 「そんな感じする」 一緒に食事をし笑う。そんな日常が幸せなんだなと再認識する。 食事を終えると母に連絡をいれた 「もしもし。心配かけてごめんね」 「スケジュール調整して暫く休めるようにしているところだから待ってて」 「大丈夫。迷惑かけた人たちに謝りに行かせて」 「星…わかった。あと2時間後迎えに行くから準備してて」 「ありがとう」 「朝陽くんは大丈夫?」 「朝陽さんも行っていいって言ってるから大丈夫」 「じゃあ後でね。星。無理してない?本当に平気?」 「仕事してる方が余計なこと考えなくて済むから…」 「そう…頑張り過ぎないでね」 「わかってるよ。ありがとう」 心配そうに俺の顔を覗き込む朝陽さんに微笑みかける 「朝陽さん。今日帰っちゃいますか?」 「着替えとか何も無いし帰らないとかなぁ…でもせいくんと過ごしたいな…明日も休みだし…」 「じゃあどうします?この家にいます?それともあのマンションがいいですか?」 「ご飯作りたいからここじゃダメ?あっちには道具あまり無いし…」 「じゃあこれここのスペアキーなんですけどこれ預かっててもらっていいですか?挨拶回り終わったら早めに帰るので。ただ時間ははっきりわかりませんが…1人で寂しく無いですか?…」 「大丈夫だよ。 待ってる」 色んなことを話している間に時間になる 「じゃあ行ってきます」 「行ってらっしゃい」 思い返せば朝陽さんが自分から一緒にいたいと言う事は初めてだった。それだけ心配してくれてるのだろう。 「せいくん」 「はい」 振り返ると朝陽さんが軽くキスをしてくれた。真っ赤になった朝陽さんに手を伸ばす。キュッと抱き締めて家を出た

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