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第68話

すっかり夜が更けて行く。思ったより早めに帰れる。 朝陽さんに連絡を入れ自宅に戻る。 温かいご飯が出来ていた。 「朝陽さん、明日から仕事がパンパンで暫く会えそうにないんです…すいません。学校も暫くは休まないとならなくて」 「そっか。仕事だもんね。無理はしちゃダメだよ」 「はい。ありがとうございます」 その後目紛しく時は過ぎていく。時が経つにつれ赤い痕達は姿を消して言った。まだどこかに引っかかりは残っているが、少しずつ解れていく気がした。 時は過ぎ… 11月。3年が自宅学習になる。生徒がいなくなった教室は水を打ったような静けさだった。 俺は相変わらず学校では例の格好でいた。長いこと休んでいたからか周りの見る目が変わった気がする。 隅田だけは相変わらずだったが。隅田にも休んでいた理由の詳細は話していない。敢えて聞いてくることもないのでとてもありがたかった。 休んだりしている間に大きな行事は終わっていた。隅田は高校生らしいことしてないじゃん。と笑っていたが俺は元々苦手なのでホッとしていた。 「仕事落ち着いた?」 隅田と2人で屋上で話す 「うん。だいぶ落ち着いた。年末はまた忙しくなるけど。お前は忙しいの?」 「今はそうでもないかなぁ。俺もこれからだな」 「伊澄とはどうなの?」 「変わらずだよ。でも前より近くなったかな」 「良かったな」 「お前は?最近会えてる?」 「もう1ヶ月以上会えてない…」 「会いに行かないの?」 「勉強頑張ってるよなぁって思ったら…」 「何それ?意味わかんない」 「え?」 「らしくないじゃん。ほんの少しでも会いに行ったら?華陵院先輩待ってると思うよ」

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