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第70話

「せいくん。今どこ?」 「近くの公園のところですよ」 「今保科さんから連絡があって今から話したいって…せいくんと僕となずなさんと」 「…なずな…」 「せいくんが大丈夫ならって言ってるけど…」 「…朝陽さん聞きたいですか?」 「何があったのか正直知りたいけどせいくんの負担になるなら知らなくてもいい」 「朝陽さん…聞いたら俺といるって言えなくなるかもしれない…」 怖かった…離れていかれるかもしれないと…自分を責めてしまうかもしれないと… 「せいくんの全部受け止めるよ。大丈夫だよ」 朝陽さんに離れていかれるのは怖い…でも朝陽さんは優しい人だからなずなの話を聞いたら自分を責めて苦しむはず…そっちの方が怖かった… 「朝陽さんが苦しくなるかもしれないですけど…」 「せいくん。僕そんなに繊細でも優しくも無いよ。以外と図太いんだ。せいくんが1人で抱えて苦しんでいるのに何も出来ない自分が嫌だ。せいくんの苦しみは一緒に背負いたい。ダメ?」 「…わかりました。取り敢えずそっちいきます」 「待ってる」 マンションに入り保科さんへ連絡を入れてもらう。迎えに来てもらうことになりもう一度公園へ向かった。直ぐに公園へやって来た車の助手席にはいくらか顔色も良くなったなずなが俯き座っていた。後部座席に乗り込んだ俺たちは手を繋いでいた。 車で約30分。料亭 月影に到着する。完全個室のその店のオーナーと仕事がきっかけで知り合っていた。会員しか入れないので話をするのにはいい場所だと思いこの店を選んだ。 部屋は和室になっていて外に目を向けると日本庭園が広がっている。池には橋が架かり鯉が泳ぎ遊ぶ 食事もそこそこに保科さんが話しかけて来た。 「相馬くん。朝陽くん。今回は申し訳なかった」 深々と頭を下げる保科さんを真似なずなも頭を垂れる 次に顔を上げた時なずなの目には涙が浮かんでいた

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