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第85話

翌日遅く起きた俺達は二人でソファに並んでテレビを見ていた。 どのテレビも年末の特別番組を放送していた。 番組の合間にある少し長めのニュースでは事件や事故、社会、そして芸能ニュースをやっていた。 いつもはあまり見ない芸能コーナーをぼーっと見ているとそこに俺の名前が表示されている。 「は!?!?意味わかんない」 重たかった目を思わず見開いた 相馬 星夜 熱愛発覚!お相手は大人気アイドル関山 藍乃 待て待て。何で関山?意味わかんないし て言うかマスコミも俺がゲイだってわかってるはずなのに… すっかり忘れそうだったが俺は以前ゲイだと言うことをカミングアウトしている。 相手が朝陽さんと言うことも。 華稜院グループの後ろ楯があり業界では暗黙の了解になっていることなのに何故ここに来て関山と交際報道が出るんだ? …関山さんの事務所はその事実を認め… 原稿を読んでいるアナウンサーに更に驚く。 いやいや何故認めている?事実無根だし。 相馬さんの事務所はコメントをしていない… 電話が鳴る。 「もしもし。星。やっと出た。見た?報道」 「見たけど全く意味わかんないんだけど。何でこんなことになるわけ?」 「こっちに原稿回ってこなくて私たちも良くわからないのよ」 相馬さんは二股交際と言うことでしょうか?以前から交際しているお相手がいるとのことだったのですが… そうですねぇ。あの若さで実力もあり… 俺についてコメントしているコメンテーターの話は流しつつ呟く 「二股とか意味わからないし。っざけんなよ……」 現在ドラマで共演中なのでそのまま交際に至ったということなのでしょう。 もう次の話題に変わっているテレビを見つめながら いや、無いし…1人頭を掻く 「どうするの?母さん。ノーコメントで行くの?めっちゃムカつくんだけど。あー…くそっ…何なんだよ。あの事務所。売名?いや…する必要ないしな…」 「せいくん。関山さんの事務所ってArkだったっけ?」 朝陽さんは笑顔だったが目が笑っていなかった。 「あそこは色んな種類の人間を上手く育てているから大目に見ていたんだけどな…たまにありもしない事発していたけどスルーしてやってたのに…今回は許さないよ…北元…」 「朝陽さん?」 「せいくん数日待っててくれる?どうにかするから…」 いつもより低い声は朝陽さんの怒りがこもっていた…

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