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第91話

「ところでその後輩くんの名前って?お兄さんがいたなら僕わかるかも」 「宮部 愛斗」 「宮部…役員にいたよ。生徒会書記の瑛斗くんと風紀の彗斗くん双子の子達。きっと彼らがお兄さんだね。弟君の写真見せてもらったことあるけどすっごく可愛いよね。僕より小さいって聞いてるよ」 「そうですね。確かに朝陽さんより小柄ですね」 「2人とも弟君溺愛してていつも話し聞いてたよ。2人はお父さん似で弟君はお母さん似って言ってた。だから顔も体型も全然違うって」 「その2人が何で俺の話なんか…」 「だって毎回テスト全教科満点でスポーツ面でも記録とか残ってるしそれに見た目もやっぱり目立ってるし」 「そうなんですね」 「話を聞いているうちに興味持って好きになっちゃったのかもしれないね」 「はぁ…」 好かれたところで何も返せないのでどうしようもない。悪い奴では無さそうだからいい人が見つかるといいのに… 「確か弟君に想いを寄せてる子いてとてもいい子だからその子と上手く言ってほしいって2人は話してたよ。確か…望月 嶺くんって子。同級生で学校は同じはずだよ」 「そうなんですね」 「僕も聞いただけだからよくわからないけど」 今日もいつもの如く宮部がやって来た。珍しく連れがいた。 「もう。嶺。ついて来ないでいいって言ったのに」 「俺も先輩と話してみたいし。愛斗が好きになった人興味あるし」 「先輩今日はクラスの子も一緒です。望月嶺。俺の幼馴染なんですよ」 朝陽さんに聞いていた子が今目の前に立っている。少し神楽坂先輩と雰囲気が似ている。ただ神楽坂先輩と比べると多少柔らかい表情をしていた 美人が増えたとクラスの奴らが騒いでいる。宮部と望月は気にしていないのか気付いていないのか周りの声は聞こえているようには見えなかった。宮部がいつものように俺の側に立つとそのすぐ隣に寄り添うように望月が立つ。 俺の顔を伺いながら宮部の話を横で頷きながら聞いていた。 宮部を見る目と俺を見る目は明らかに違っていた。もう長いこと宮部に好意があるのだろうと思った。 宮部は鈍感なのか望月の少しの違いに全く気づいていなかった。

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