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第94話

宮部side 今日も先輩のところへ向かおうとすると嶺が追って来た。 「俺も行く」 「嶺。来なくていいよ」 「お前が何でそんなに熱を入れてるのか見てこいって瑛ちゃんと彗ちゃんから言われたの」 「もう…瑛斗も彗斗も心配性だな…大丈夫だって。ついてこないでいいよ」 兄達の名前を言ってきた嶺に少しモヤっとする。昔から2人に愛されすぎていると思う。毎朝学校に行く間際全力で2人に抱き着かれ、時には泣かれ… でもそんな2人も嶺にだけは安心して任せられると俺の見張りを嶺にさせていてこの状態は子供の頃から変わらない。そんなに溺愛されているが実はイヤではない。むしろ嬉しい。イケメンで優しい2人が俺の兄というのは自慢だ。まぁ本人達には言わないけれど… 話しながら歩いていたから気付けばもう先輩の教室についていた。いつも以上に視線を感じる。 こうなるから連れて来たくなかったのに… 嶺はその見た目から男にまでモテていたのだ。嶺を見る先輩達の視線に良く解らないモヤモヤが広がる気がした。俺の幼馴染に色目使わないでよ… 嶺が人気があるのは自慢の1つではあるが嶺が他の人のものになるなんてイヤだ。嶺にはずっと側にいて欲しい。いつか嶺に特別な人ができたとして…俺は手放しで喜ぶ事は出来ないだろう。 小さい頃から一緒だから変な独占欲がどうしても拭えないままに今に至っている。 それって好きって事じゃないのか?以前兄達に言われた事はあるが恋愛のそれとは違う気がする。 一緒に居るのが長過ぎてもはや家族の様な感覚だと思う。 …でも兄達に相手ができたら…恐らくとても寂しいけどイヤではないと思う…ん〜…よく解らないから考えるのをやめ先輩の方へ向かう 「もう。嶺ついて来ないでいいって言ったのに」 「俺も先輩と話してみたいし。愛斗が好きになった人興味あるし」 「先輩今日はクラスの子も一緒です。望月嶺。俺の幼馴染なんですよ」 先輩の表情はやはり見えないが何となく目を見張った様な気がした。先輩嶺みたいな人がタイプなのかな…ショックよりもなんか…解らない感情が渦巻いた。 いつもの様にこの昼休み中先輩に向かって話しかけるが俺の会話に対する受け答えより嶺に対するものの方が柔らかい気がして胸がチクリと痛んだ。 そんな中見られてる気がして少し目を動かすと隅田先輩がこっちを見ていた。いつもの感じとは違う射抜く様な目に萎縮する その日の放課後。嶺がどうしても一緒に帰ると聞かなかったので先輩と帰るのを諦めた。 2人で久しぶりに帰る道は何時もより長く感じた

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