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第99話

手を引き立ち去ろうとする望月を引き寄せその首元に顔を埋める。 背は高く体つきもしっかりしているが気を抜いていたのですんなり俺の元へ倒れ込む。 もがくが俺の力には及ばない。ジタバタする望月は案外可愛かった。 「ちょっと…先輩何やってるんですか」 戸惑い声を荒らげる。突然の出来事に宮部は動けないでいた。 「嶺…いい匂い…」 「は?」 「お前に初めて会った時から気になってしょうがなくて…」 耳元で囁くと固まり動けなくなった。まだ宮部は動かない… 「ねぇ…嶺…」 思い切りトーンを落として耳に息が当たるように喋る 「俺のものになってよ…」 そして耳朶を舐め上げ歯を立てる 「あっ…ヤメっ…」 よっぽど感じやすいんだろう。甘い声を上げた望月は見た目からのギャップで朝陽さんに出会う前の俺だったら思わずころっといっていたかもしれない。 「嶺…可愛い…もっと声聞きたいな…」 今度は無理矢理こちらを向かせる。繋がれてたはずの宮部の手はいつの間にか離されていた。宮部は目に涙を溜めこちらを見ていた。それでもまだ動けないのかそこから立ち去ろうとはしなかった 「嶺…」 舌舐めずりして望月の顔を引き寄せ唇を奪おうとする。その時だった。宮部が小さい体を俺と望月の間に滑り込ませ無理矢理に俺たちを離した。まぁ入り込む時すでに力は若干緩めてはいたけれど 「何?邪魔しないでよ。宮部」 「嶺はダメです!」 「俺が誰に好意持っても関係ないだろ」 「嶺はダメです!嶺は誰にも渡さない」 「はぁ?だってただの幼馴染で特別な感情ないならいいじゃん」 「ダメったらダメです」 「じゃあ何?お前は嶺とこんなことできる訳?キスとかそれ以上とか」 すると宮部は 望月の首にぶら下がり顔を引き寄せると望月に触れるくらいのキスをした 「できますよ。もっと沢山できます。他の人がするくらいなら俺がします!誰にも触らせません」 望月は重なる出来事に混乱するしかなかった。 「…」 「ふーん…それってやっぱりお前は望月に惚れてるってことなんじゃないの?」 「え?」 「ただの幼馴染で長くずっと一緒だからって流石にキスやそれ以上のことなんてできないよ」 「あれ?俺が嶺を好きってこと?え?…」 戸惑いながらオロオロする宮部は小型犬のように震えていた。 「ま。あとは2人で話せよ鍵渡しておくから」 笑って背を向けると宮部が慌てて追って来る。 「さっきのって…」 「冗談に決まってるだろ。俺は今の人以外に好きな人なんて出来ないし他の人に興味ないし」 「じゃあ…」 「お前頭いいんだからわかるだろ?自分と望月に冷静に向き合えよ」

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